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東京地方裁判所 平成5年(ワ)25085号 判決

原告

甲野太郎

右訴訟代理人弁護士

遠藤安夫

被告

右代表者法務大臣

長尾立子

右指定代理人

伊藤一夫

外一名

被告

乙野二郎

右訴訟代理人弁護士

小沢征行

秋山泰夫

藤平克彦

香川明久

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一  請求

被告らは、各自、原告に対し、金四〇一四万一〇〇〇円及びこれに対する平成五年八月二〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二  事案の概要

本件は、自己の住居について建物引渡しの強制執行を受けた原告が、右強制執行の際、執行官、執行補助者たる作業員及び債権者代理人の弁護士の過失により、家財の一部について紛失又は損傷の被害を受けたとして、国に対しては国家賠償法一条に基づき、右弁護士に対しては民法七〇九条又は七一五条に基づき、かつ、両者につき同法七一九条一項に基づき、損害賠償及びこれに対する不法行為日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

一  基礎となる事実

1  当事者及び関係者

原告は、貿易業を営む大協商事株式会社を経営するほか、金融、株式売買、不動産売買等の事業を営むものである。

山岸昭夫(以下「山岸執行官」という。)は、昭和六三年四月から平成七年八月まで東京地方裁判所執行官の職にあり、現在は同庁八王子支部執行官の職にあるものである。

被告乙野二郎(以下「被告乙野」という。)は、東京弁護士会所属の弁護士である。(甲一五、丙三、原告本人、争いのない事実)

2  本件建物の所有権の移転状況

別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)は、株式会社和光がもと所有していたが、平成四年二月二一日に東京地方裁判所の競売開始決定に基づく差押えがされ、平成五年四月二一日にウイナープランニング株式会社(以下「ウイナープランニング」という。)が買い受けたものである。(乙三)

3  本件建物の占有状況及び引渡命令の確定に至る経緯

原告及びその妻の甲野花子(以下「花子」という。)は、遅くとも平成四年一〇月ころから本件建物を住居として使用し、これを占有していた。

ウイナープランニングは、平成五年五月に原告に対して右建物を任意に明け渡すことを求めたが、原告がこれに応じなかったことから、同年六月ころ、被告乙野ほか四名の弁護士に対し、右建物について原告及び花子を相手方として引渡命令の申立てをすることを委任した。

そこで、右弁護士らは、その後、東京地方裁判所に対し、右建物について原告及び花子を相手方とする引渡命令の申立てをし、同年六月二二日、右申立てに基づき、原告及び花子に対して引渡命令が発せられ(以下「本件引渡命令」という。)、同年七月一日の経過により右引渡命令は確定した(民事執行法八三条五項、四項、一〇条二項参照)。(乙四、五、七の1ないし4、証人花子)

4  本件建物引渡しの強制執行の実施

ウイナープランニングから原告及び花子を相手方とする本件建物引渡しの強制執行の申立てをすることを受任した被告乙野は、平成五年七月八日、ウイナープランニングの代理人として、東京地方裁判所執行官に対し、本件引渡命令に基づく右強制執行の申立てをした。

右申立事件の配てんを受けた山岸執行官は、同月一五日午前一〇時四〇分ころ、被告乙野及び解錠技術者などと共に本件建物に赴き、右強制執行に着手した(以下、右強制執行を「本件第一執行」という。)。

山岸執行官は、原告及びその家族が不在であったため、解錠の上、右建物内に立ち入ったが、被告乙野から目的外動産の受領準備のためとして同年八月一九日まで右強制執行を中止することを求められたことから、同日まで右強制執行を中止し翌二〇日に右強制執行を続行することを決め、右建物について明渡しの執行がされている旨を記載した公示書(様式は丙四のとおり)を右建物に貼付し、さらに、原告が同月一九日までに右建物から任意に退去しないときは翌二〇日に右強制執行を続行する旨を記載した「任意履行の催告と建物明渡しの執行の告知」と題する書面(様式は丙五のとおり)を右建物室内のテーブル上に置いて、午前一一時ころ、本件第一執行を終了した。(甲一、乙八、丙一、三、証人山岸)

5  本件建物引渡しの強制執行の続行

平成五年八月一七日に被告乙野から本件建物引渡しの強制執行を同月二〇日に続行するよう申立てを受け、予定どおり同日に右強制執行を続行しようとしていた山岸執行官は、同月一九日、原告及び花子の代理人である遠藤安夫弁護士(以下「遠藤弁護士」という。)から、花子が極めて疲労しており肝炎にかかっている疑いもあるとして同人の病状が安定するまでしばらくの間右強制執行の続行を延期して欲しい旨の「明渡断行の執行の延期方上申」と題する書面(甲二の1)及び「病名肝炎の疑い 平成五年八月一九日強い全身倦怠感にて来院 頭書の疑いで精査加療を開始しています」との記載のある同日付け診断書(甲二の2)の提出を受けた。

しかし、右書面等を検討した山岸執行官は、被告乙野とも連絡した上で、右強制執行を延期せず、予定どおりに続行することにし、同月二〇日午前一一時三〇分ころ、被告乙野、森山香次(以下「森山」という。)、解錠技術者及び作業員二〇名と共に本件建物に赴いたところ、原告及び花子は不在で、同人らの未成年の子三名のみが在室していたため、森山を立会人として、右強制執行に着手した(以下、右強制執行を「本件第二執行」という。)。

執行開始の際、右建物内は、段ボール箱五、六個分の家財のみが箱詰めされている状態であったため、山岸執行官は、箱詰めされていない家財のこん包及び搬出作業を作業員に指示したが、作業が開始されて間もなく、右建物内の台所の天袋内から紙袋に入った現金約一〇〇〇万円が発見されたことから、同執行官は、家財のこん包及び搬出に当たっては一般品と貴重品を区分して取り扱うことにした。

その後も、右建物内からは、右約一〇〇〇万円を含めて現金九三五九万余円のほか預金通帳や貴金属類など多数の貴重品が発見されたが、午後一時三〇分ころに本件第二執行は終了し、山岸執行官は、被告乙野に対して、搬出した家財のうち貴重品については港区内の倉庫に、その他の一般品については世田谷区内の倉庫に保管することを委託し、これらの家財は、右各保管場所にそれぞれ搬入された。(甲二の1、2、三、四の1、2、丙三、六、証人花子、同山岸)

6  原告による保管物の引き取り

被告乙野は、遠藤弁護士に対し、平成五年八月二三日、保管中の家財のうち貴重品として保管されたものを返還した。

山岸執行官は、翌二四日、遠藤弁護士から、一般品として保管中の家財に関して、右家財には現金等の貴重品が含まれているとして、保管物を特定した上でその返還を求める旨の「差押物件の還付請求」と題する書面(甲八の1)の提出を受けたため、同月三〇日、前記倉庫内において、原告及び花子の立会いの下、保管物の点検を実施した。そして、花子の指示に基づき同執行官が保管物の入っている段ボール箱を開けたところ、現金二二〇〇万円や自然木の彫刻花立てなどの貴重品が新たに発見されたので、同執行官は、これらの貴重品を原告に返還した。

その際、山岸執行官は、原告及び花子から、右保管物中には、右貴重品のほかにも現金八〇〇万円、抹茶碗二個等の貴重品が含まれているはずであり、また、破損した物品もある旨の申出を受けた。

なお、その余の保管物については、その後、原告に返還された。(甲六、八の1、一〇、一六、丙二、三、弁論の全趣旨)

二  争点

1  原告の損害の有無

(一) 原告の主張

(1) 家財の紛失

本件第二執行の際、原告の所有していた現金八〇〇万円(以下「本件八〇〇万円」という。)及び道入作の抹茶碗赤・黒一対(時価二五〇〇万円。以下「本件茶碗」という。)が紛失した。

(2) 家財の損傷

右執行の際、原告の所有していた物品(時価合計七一四万一〇〇〇円)が次のとおり損傷を受けた。

① 水晶玉二個(時価合計五〇〇万円) 擦過痕等

② 角飾り一個(時価二〇〇万円)

角の元部の破損

③ 小鉢一個(時価一万円) 破損

④ 額一個(時価一〇〇〇円)

ガラス部分の破損

⑤ 事務机一個(時価五万円)

脚部の破損

⑥ クリスタルガラス置物一個

(時価三万円)

動物首部の破損

⑦ 乾燥機一台(時価四万円)

左側部分へこみ作動不能

⑧ 掃除機一台(時価一万円)

ローラー両側破損作動不能

(二) 被告らの主張

原告の主張事実はすべて否認する。

2  山岸執行官の過失の有無

(一) 原告の主張

(1) 山岸執行官は、本件第二執行の際、原告及び花子が不在であり、かつ、同人らの代理人である遠藤弁護士から右執行の延期を求める上申書が提出されていたのであるから、同弁護士に右執行を実施する旨の連絡をして執行に立ち会う機会を与えるべきであったのに、これを怠り、さらに、ウイナープランニングの代理人である被告乙野が報酬を支払って派遣した立会人として不適格な森山を形式的な立会人として右執行に立ち会わせ、職務の執行についての公正な監視をさせなかった。

(2) 山岸執行官は、右執行の際、執行補助者である作業員が家財のこん包及び搬出の作業を行うに当たり、同人らを十分に指揮監督すべきであったのに、これを怠った。

(二) 被告国の主張

(1) 原告の主張(1)は争う。

山岸執行官には、遠藤弁護士に対して本件第二執行に立ち会う機会を与えるために右執行の実施を連絡すべき法的義務はない。

森山には立会人としての適格性において欠けるところはなく、同人を右執行に立ち会わせた山岸執行官の措置に何ら過失はない。

(2) 同(2)は争う。

山岸執行官は、右執行の際、家財のこん包及び搬出の作業を行う作業員を十分に指揮監督していた。

3  執行補助者である作業員の過失の有無

(一) 原告の主張

(1) 山岸執行官から執行補助者に指名され、本件第二執行の際に家財のこん包及び搬出の作業を行った作業員は、国家賠償法一条一項にいう公権力の行使に当たる公務員に該当するものと解すべきである。

(2) 右作業員は、右作業に当たり、必要な注意を怠った。

(二) 被告国の主張

原告の主張は争う。

4  被告乙野の過失の有無

(一) 原告の主張

(1) 被告乙野は、本件第二執行の際、原告及び花子が不在であり、かつ、同人らの代理人である遠藤弁護士から山岸執行官に対して右執行の延期を求める上申書が提出されていたのであるから、同弁護士に右執行を実施する旨の連絡をして執行に立ち会う機会を与えるよう同執行官に進言すべきであったのに、これを怠り、さらに、同被告が報酬を支払って派遣した立会人として不適格な森山を形式的な立会人として右執行に立ち会わせ、同執行官が公正な職務の執行をするように監視させなかった。

(2) 被告乙野は、自ら報酬を支払って右執行に執行補助者として派遣する作業員を選任する際には、家財のこん包及び搬出の作業の適任者を選任すべきであった上、右作業の際にも、山岸執行官と共に作業員を十分に指揮監督すべきであったのに、これらを怠った。

(二) 被告乙野の主張

(1) 原告の主張(1)は争う。

被告乙野には、遠藤弁護士に対して本件第二執行に立ち会う機会を与えるように山岸執行官に進言すべき法的義務はない。

また、同被告には、立会人の選任に関して、何ら権限がなく、注意義務もない。

(2) 同(2)は争う。

被告乙野には、執行補助者の選任及び指揮監督に関して、何ら権限がなく、注意義務もない。

第三  争点に対する判断

一  争点1(原告の損害の有無)について

1  家財の紛失の有無について

(一) 本件八〇〇万円について

(1) 証人花子及び原告本人は、本件第二執行の際本件建物の寝室のクローゼット内には現金三〇〇〇万円(以下「本件三〇〇〇万円」という。)が保管されており、そのうち平成五年八月三〇日に返還された二二〇〇万円を除いた残りの本件八〇〇万円が右執行の際に紛失した旨供述し、甲一五及び一六の同人らの陳述記載にも同旨の部分がある。

(2) しかしながら、原告も陳述書(甲一五)で自認するように、本件三〇〇〇万円の入手先について、原告は、当初、「原告が手形割引をして現金化した」(平成六年五月二三日付け準備書面)と主張しながら、その後、「原告が経営するシー・エッチ・オーなる会社に対する貸金の返還を受けた」(同年一二月五日付け準備書面)と主張を変え、さらに、「大協商事株式会社が取引している福岡の金融機関に預金する等して保管していた原告が所有するものである。これらの金銭は原告が株の売買により取得し又は貸金の返済を受る等して入手した」(平成七年二月一三日付け準備書面)と再度主張を変更している。そして、右主張の変遷について、何ら首肯するに足りる合理的説明もされていないことをも併せ考えると、その当時原告が本件三〇〇〇万円を有していたとする主張は、それ自体、信用性が低いものといわざるを得ない。

(3) また、前記第二の一5記載の本件第二執行の際に原告及び花子が取った一連の行動には、常識では理解し難い不自然かつ不可解な点がある。すなわち、①同人らは、本件第一執行の際、平成五年八月一九日までに本件建物から任意に退去しないときには翌二〇日に建物引渡しの強制執行を実施する旨執行官から書面で告知されていながら、右退去期限である同月一九日になって、突如、遠藤弁護士を介して花子に肝炎の疑いがあることを理由とする右強制執行の延期の申立てをしていること、②当初の予定どおりに右強制執行を続行することを決定した山岸執行官らが右建物に赴くと、原告及び花子は不在で、同人らの未成年の子三名のみが右建物内にいたこと、③本件第二執行の開始の際、右建物内では既に段ボール箱五、六個分の家財(証人花子の証言によれば、右段ボール箱内には骨董品や衣類等の別段貴重品とは思われない物品が入っていたことが認められる。)が箱詰めされていたにもかかわらず、合計一億円以上の現金や貴重品が台所の天袋などに置かれたままになっていたことなどは、極めて不自然で、かつ、不可解である。

証人花子は、右の諸点について、一方で、①心労のため疲労感が激しく、同月一九日に診療所で診察を受けたところ、肝炎の疑いがあるとして検査も受けた、②右強制執行の延期の申立てを遠藤弁護士に依頼したので、執行が延期されるものと考えたなどと説明するが、他方で、③その後九月になって別の病院に二回ほど通院したことはあるが、当該診療所には右受診以降は通院したことがなく、また検査結果も聞いていない、④右申立ての依頼をした際、同弁護士からは、右強制執行が延期されない可能性もある旨を告げられたとも証言しており、右③④の証言を考慮すると、右①②の説明は到底納得のできるものではなく、結局、本件第二執行の際に原告及び花子が取った一連の行動について、何ら合理的な説明はされていないものといわざるを得ない。

そして、右のような原告及び花子の一連の行動の不自然さ、不可解さに加えて、これについて花子が不合理な説明をしていることを総合して判断すると、これらの一連の行動は、本件第二執行の混乱を狙った原告及び花子が、右強制執行の延期の申立てを遠藤弁護士に依頼した上で、本件建物内にあえて多額の現金や貴金属類を放置したまま、同人らの子三名だけを残して、意図的に家を空けたものである可能性が極めて高いというべきである。

(4)  右(2)及び(3)の点、さらには、原告主張の本件茶碗の紛失に関しても、後記(二)(2)で指摘するとおり多くの疑問点があることに照らすと、右(1)の証人花子及び原告本人の供述並びに甲一五及び一六の陳述記載は、にわかに信用することができず、他に、原告主張の本件八〇〇万円紛失の事実を認めるに足りる証拠はない。

(二) 本件茶碗について

(1) 証人花子及び原告本人は、平成元年五月二五日に秀山堂美術こと小川将弘から二五〇〇万円で購入した本件茶碗が本件第二執行の際に紛失した旨供述し、甲一五及び一六の同人らの陳述記載にも同旨の部分があるほか、甲一一(領収証)にもこれに沿う記載があり、甲一二No.1の写真には右茶碗が納まっていたとする箱が写っている。

(2) しかしながら、本件茶碗が納まっていたとする箱の写真が証拠として提出されていながら、右茶碗自体の写真が提出されていないというのは、不自然かつ不可解なことであり、この点について、原告本人は、以前は右茶碗自体の写真も所持していたが、その後にこれを紛失したなどとにわかに首肯し難い供述をしている。また、そもそも右の箱の写真は、原告が撮影したものとして提出されたものであるにもかかわらず、原告本人は、右写真の撮影の際の状況及び撮影の目的について記憶がない旨供述し、後には、誰が撮影したものか分からないなどと供述するに至っている。

また、時価二五〇〇万円もする高価な茶碗の所有者であるならば、経験則上、その特徴や保管場所について具体的かつ詳細に記憶しているはずであると思われるにもかかわらず、原告本人は、その特徴について漠然とした供述に終始しており、また、その保管場所についても、一方で本件建物の中にあったことは間違いないと断言しながら、それを和室の床の間と押入れの天袋のいずれに保管していたかは不明であるなどと供述しており、その具体的な点についてはあいまいである。

さらに、本件茶碗の作者である道入の名が、甲一一では、「導入」と誤って記載されており、古美術商であるとする小川将弘(又はその使用人)が高名な陶芸家の名を誤って記載したというのも、また不可解である(なお、原告及び花子の陳述書中でも、同様に「道入」が「導入」と誤って記載されている。)。

(3) 右(2)の諸点に加えて、原告主張の本件八〇〇万円の紛失に関して前記(一)(3)で指摘した点も併せ考慮すると、右(1)の証人花子及び原告本人の供述並びに甲一五及び一六の陳述記載は、本件八〇〇万円の紛失に関するそれらと同様、にわかに信用することができず、また、甲一一の記載内容の信用性にも疑問があり、さらに、甲一二No.1の写真から原告が本件茶碗を所有していたことを認めることもできない。そして、他に、原告主張の本件茶碗紛失の事実を認めるに足りる証拠はない。

2  家財の損傷の有無について

(一) 証人花子及び原告本人は、本件第二執行の際原告が所有していた水晶玉二個ほか時価合計七一四万一〇〇〇円相当の家財が損傷を受けた旨供述し、甲一六にも花子の同旨の陳述記載があるほか、甲一二No.2ないし10の写真には、損傷を受けたとする家財が写っている。

(二) しかしながら、原告主張の本件八〇〇万円及び本件茶碗の紛失に関する証人花子及び原告本人の供述が前記1のような理由で信用し難いものである以上、同人らの家財の損傷に関する右供述及び甲一六の陳述記載も、にわかに信用することができず、また、甲一二No.2ないし10の写真だけから、これらの家財が本件第二執行の際に損傷を受けたものと認めることもできない。そして、他に、原告主張の家財損傷の事実を認めるに足りる証拠はない。

二  まとめ

以上によれば、その余の争点について判断するまでもなく、原告の請求はいずれも理由がない。

第四  結論

よって、原告の請求をいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官横山匡輝 裁判官市原義孝 裁判官楠井敏郎は、差し支えのため署名押印することができない。裁判長裁判官横山匡輝)

別紙〈省略〉

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